削り道具である鉋は、木を白木のままで使えるように仕上げるために、日本独特の発達をしてきました。木の表面を滑らかに精彩に仕上げるということから、日本では美に奉仕する道具ともいわれています。 建築の様々な部分を仕上げるために、単に平滑な表面を削る鉋だけでなく、溝かたを削る鉋、曲面を削る鉋、飾り模様を削り出す鉋が工夫されてきました。表面を削る鉋も荒けずり、中仕上げ、上仕上げと削りの段階で使い分けるといったことも行われています。 昔は鉋の刃は一枚でしたが、発達の過程で、より使いやすくするために、二枚の刃を合わせて使い、削りで木の表面に生じる逆目を防ぐという発明もされています。 | |
伐採された木材は建築の骨組みになる柱や梁などの部材に加工します。これら部材は、お互いに結合できるように加工する必要があります。この加工に欠かせない道具が鑿です。 ほぞ孔を掘ったり、凹凸をつける細工には欠かせません。ここから鑿は構造に奉仕する道具ともいわれています。 叩き鑿には、構造材の加工に用いるため、全体に頑丈に作られた本叩き・広鑿・中薄鑿から、主に造作材の小細工仕事に使用する大入鑿(又は追入鑿)のように穂先が薄く首も細い、比較的華奢な作りのものまで各種のものがあります。 また、突鑿には、加工面の仕上げに使用する突鑿・薄鑿や、穂先の断面が三角形で鋭角(蟻)の隅を仕上げるのに使用する蟻鑿などがあります。 | |
鋸(のこぎり)は木材を切断する道具で、略して俗に「のこ」ともいいます。 木材を繊維の方向に沿って切断するときに使う鋸を「縦挽き」と呼び、 木材を繊維の方向と直角に切断するときに使う鋸を「横挽き」と呼びます。 |
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わが国では、古代から、釿は主に柱や梁など用材の荒削道具として使われてきました。
ヨーロッパなどでは、主に日本の鉞に相当する刃幅の斧(刃が柄と平行についている)で用材を削り仕上げしたといわれており、現在の釿の形は日本独特に発展した道具ともいえます。
近年、木造建築の減少、洋風建築の普及のため、大型の用材をふんだんに使うことがなくなり、大工道具として釿の出番は少なくなってきています。 |
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ツチ(槌)は物を叩く道具です。叩く力がぶつかる相手の形を変えたり、表面を壊したりします。ゲンノウ(玄能)、カナヅチ(金槌)といわれる叩く道具は直接用材に働きかける道具というより、鑿の頭をたたいたり、釘打ちに利用されるものです。 |